自作ルーターの構築に最適な小型コンピュータボード7選

2017/06/05 追記

以前記事を書いた際にはなかったのだが、Amazonで東雲社(しののめしゃ)という会社の販売しているベアボーンキットなのだが、LANポートが4個とか付与されてて、もうルーターとして使ってくれと言わんばかりものが販売されている。x86/x64系のOSもインストールできるので、VyOSやpfSenseなども簡単にインストールできる。今から構築するなら、この辺を購入することを検討したほうが良いだろう(もしくは、個人的なおすすめとしてPC Engineの出してるAPU系)。


~以下、元記事~

自作PCの趣味を持つ人は一定数いると思うが、さすがにルーターまで自作している人間は限られるだろう。
通常であれば、自宅用のルーターであればその辺のBuffalo製、もしくはより安定しているNEC製のルーターを使えばいい。

しかし、そういった家庭用ルーターだと、業務用の機器に比べて機能が劣る面がある。だからといって、業務用ルーターなんて新品で購入すれば10万は軽く超えてしまう。中古であればもう少し安くできるが、古い機器になるため、性能面に不安がある。
家庭で業務用ルーターと同等の機能を、それなりのお値段で実現するのであれば、PCベースの基板を用意しそれにルータ用のOSをインストールする方法がある。これならば簡単に業務用ルーターと同等の機能・性能を、それなりのお値段で実現できる。

そんなわけで今回は、自分でルーターを自作する際に便利なコンピュータボードを7個紹介する。

1.PC Engine APU1シリーズ

PC Engine社のx86_64系小型ボードで、AMDのCPUを搭載している。x86_64系なので、当然VyattaやVyOS、SEIL x86といったPCルーター用のOSが動作する。
搭載されているLANポートは3つ。全てGigabit Ethernetだ。ビデオ端子は搭載しておらず、シリアルケーブルで接続しOSのインストールや設定を行う。
日本国内だと、オーディオ用ボードとして販売されている事が多いらしい。後述する前モデルであるALIXシリーズと違い、miniPCI-Express接続のmSATA SSDを用いる。CFは利用出来ないので注意。

私も、実際にこのボードとVyOSで無線LANルーターを構築している。

テストで1週間以上連続稼働をさせているが、問題なく安定している。
あまりルーターの場所を取りたくない時にいい選択肢だろう。

しかし、PCIの増設が出来ないため、基本的にLANポートの増設は出来ない。
そのため、拡張性は無いと考えて良いだろう。LANポートが3つ以上必要な場合は、後述する他のボードを利用してもらいたい。

また、こちらのレビューにも記述されているが、CPUの処理速度があまり早くない。
大きく負荷をかける運用をするのであれば、別の基板の方が向いているかもしれない。

日本国内で入手する場合は、ヤマモト・ツール・ワークスさんやSWITCH SCIENCEさんなどで入手すると良いだろう。

2.PC Engine ALIXシリーズ

CPUはAMD、NICを3ポート搭載している、正方形の小型シングルボードコンピュータのシリーズ。
先ほど紹介したAPU1シリーズの前シリーズで、日本国内でもこのボードを使ってルーターを構築した例がいくつもある。

スペック的には、最初に紹介した後継シリーズであるAPU1シリーズに比べて下がるのだが、その分値段が安くなっている。
性能は低くても、比較的安い値段でルーターを構築したい場合は、こちらの基板の方がいいかも知れない。

後継のAPU1シリーズと同様、拡張性は無いに等しい。
LANポートが3つ以上必要な場合は、後述する他のボードを利用した方が良いだろう。

3.Jetway NF9HQL-525

2012年頃に発売された、Atom Dual Core D525 (1.80GHz)を搭載したMini-ITXボード。
LANは4×Gigabit Ethernet、PCI Express x1スロットがあるため、PCI Expresss x1 -x16変換ケーブルなどを用いて、NICを増設する事も可能だろう。

ケースは、NICを増設するならばSST-ML05、SST-ML07辺りを使うと良いだろう。

現時点では、このボードはヤフオク等で入手することが可能だ。

4.Jetway NF38QLB-525

前述のNF9HQL-525を更に半分の面積にし、なおかつLANポートの数はそのまま保ったボード。
残念ながら、日本国内で入手するには輸入以外方法がない。アメリカなどから、Amazonで購入するのが良いだろう。

5.FX5625

8ポートのGigabit Ethernetを搭載したMini ITX対応のPCルーター。
これについては、ボードというよりもx86対応のルーター機器として販売されていると考えた方がよさそうだ。

こちらも、国内で調達するのは難しいと思われる。
欲しい場合は、アメリカや中国などから輸入するしか無いだろう。

6.GA-9SISLA1SAi-2750F

GIGABITE、SuperMicro社がそれぞれ出しているボード。
どちらもGigabitのLANポートを4ポート搭載し、マネジメントポートを搭載しているという、まさにサーバ用のボード…なのだ。

もちろん、お値段もサーバ用だ。1枚5万円を超える。
品質としては、今回紹介したボードの中ではトップだと思うが、いかんせん高い。
業務用…というかデータセンター用であれば、1Uラックをルーターにした方が早いだろう。そのため、あまりおすすめは出来ない。

7.Banana PI BPI R1 Opensource Router 

BPI R1 Banana Pi R1 free shipping.Smart Open-source Wireless Router.

以前、私も実際に試してみた事がある基板。
Raspberry Piのルーター版といった代物(…というか、Raspberry Pi のパクr互換機のBanana Pi のルーター版)

使用感としては…お察しください
正直、実用としては使い物にはならないのだが、おもちゃとしてはまぁいいだろう、というレベル。
…まぁ、購入して3日でボード自体が壊れて起動すらしなくなったのだが

とはいえ、コンセプトは非常に面白いため、今後への期待を込めてここにラインナップしておくことにする。

以上、7種類のコンピューターボードを紹介した。
個人的には、あまり性能や拡張性を求めないならばAPU1シリーズを、それ相応の性能や拡張性を求めるならばNF9HQL-525を選択すると良いだろう。